こべべの製作工程を紹介します。
元々は人が着るサイズにあわせて絵付けがされている着物なので、それをただただ切り取って小さく仕立てればよい、というわけではありません。40〜60cmサイズの立体着付にした時に「どうすれば綺麗で色気のあるしなやかな着姿になるか?」試行錯誤を重ね、培ってきた和裁技術を活かし独自の寸法を割り出し、現在のスタイルに辿りつきました。そして、実際の着物を仕立てる時と同じ工程、同じ想いで丁寧に仕上げています。
1着物の受け取り
お客様から想いの詰まった着物を受け取ります。自主製作の場合は正絹の古布着物を買い付けます。
2着物の状態をチェック
シミ、汚れ、キズなどがないか、使える部分を見極めます。
3着物を解く
布を傷付けないように丁寧に解いてゆきます。
4洗い張り
悉皆屋(着物のクリーニング専門家)に依頼し、綺麗な反物の状態にしてもらいます。
5八掛と比翼布を選ぶ
着物の色柄にあわせて八掛と比翼布を選びます。裾や袖口からちらりと見える部分なので、仕上がりの雰囲気をイメージして選びます。
袖口に黒と薄い緑を少しのぞかせ、赤い着物とのバランスを考えた例です。細部へのこだわりで全体の印象が変わります。
6柄合わせ
こべべサイズにした時の全体のバランスを考えながら柄の位置を決めます。袖と袂の柄のつながりなどを丁寧に検討します。ここがこべべ製作の難しいところでもあり醍醐味でもあります。
元は絵羽織だったものを、白い梅の柄をお袖から裾にかけておき、黒地部分のバランスも考え訪問着調のこべべに仕立てました。
前身頃と衽の縫い目部分の柄まで美しくつながって見えるように、柄合わせの段階から丁寧に検討しました。
7裁断
着物をこべべサイズに裁断します。大切な着物にハサミを入れる、身の引き締まる瞬間です。
8へらつけ
熱したへらを押し当て、縫うときの目印を付けます。
9縫製
手縫いで針を上下に動かしながら縫っていく運針は、和裁技術の基本であり、国内の和裁士さんはすべてこの運針で着物を縫い上げます。
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10襦袢と半衿・帯を検討
着物の色柄に合わせて、襦袢と半衿・帯の組み合わせを検討します。同じ着物でも襦袢と半衿・帯の色柄で雰囲気が大きく変わるので、繊細にそして時に大胆にコーディネイトします。
11襦袢と帯を製作
実際の着物の仕立てと同じように、襦袢と帯もそれぞれこべべサイズに縫い上げ、襦袢には選んだ半衿も縫いつけます。
12着付け
襦袢、着物、帯の順にこべべサイズの仮紐や衿芯・帯板を使いオリジナルトルソーに着付けていきます。
13帯締め、帯揚げを選ぶ
帯締めと帯揚げを選びます。細部までこだわって作る場合もあります。
14完成
全体の形を整えて完成です。手の動きや着物の流れで表情も出てきます。
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