こべべにするには難しい着物(生地)とは? /4つの例の着物
こんにちは、
こべべディレクターゆう子です。
少し前に
「一枚の着物からこべべは何体つくれる?」
というお話しをしました。
まだ読まれていない方はぜひ読んでみてください
⇒「一枚の着物からこべべは何体つくれる?」
いろいろな条件や
着物の状態にもよりますが、
一枚の着物から最大3体(枚)
のこべべをつくれることを
お伝えしました。
では今回は
《 こべべにするには難しい 》
という着物(生地)も実はあるので
そのお話をしていこうと思います。
” ” ”
ここでお話しする「難しい着物」とは、
私たちが製作してきた
こべべ特有のしなやかさが出にくくなる
ということを意味しています。
” ” ”
私たちは、こべべ製作のご依頼を
お受けする際に大切にしているのが
どんな着物も
できる限りの手を尽くし
新たなカタチ へと残して差し上げたい
という思いを持ち、
製作にあたっています。
なので、
「こべべにするには難しい着物がある」
といってもこべべに出来ないわけではありません^^
それらの着物でも一工夫することで
救える方法もあるので
併せてご紹介していきますね。
それでは
どのような着物がこべべには難しいのか?
いくつか例をあげてお話しします。
↓ ↓ ↓
◉こべべにするには難しい着物とは?
◎刺繍がある着物
◎染料によって生地が硬くなっている着物
◎紬などの硬めの織りの着物
◎激しく劣化している着物
この4つの例の着物です。
それぞれもう少し詳しく説明していきます。
1、刺繍がある着物
振袖や留袖、訪問着に用いられることが多い刺繍。豪華で華やかなのですが、刺繍部分は表から見えない生地裏にも刺繍糸が無数に張り巡らされているため、生地に厚みが出ています。生地面積が小さくなるこべべにするとよりゴワつきや突っ張り感が強く出てしまい、こべべ特有のしなやかさであるお袖の振りやおひこずりの裾のドレープが出にくく、ピンと張った仕上がりになってしまいます。
【こべべにするための一工夫】
表の刺繍が解けない程度に、生地裏に張り巡らされた刺繍糸を慎重に切り取ってゆき、糸が抜けてしまわないよう芯を貼ります。これをすることでゴワつきを減らしこべべ製作を可能にしていきます。(刺繍糸により生地の厚みはまだあるので突っ張り感は多少出てしまいます)
【その他のおすすめ製作方法】
刺繍が入った豪華な柄の着物は、立体に着付けてあるこべべではなく、平面の掛こべべ(かけこべべ)もおすすめです。平面に広げて掛ける状態になるため、突っ張り感が軽減されます。
▼体に着付けてあるこべべ /高さ50〜60cm
▼平面の掛こべべ /高さ40〜70cmまで製作可。
古くからリメイク着物の定番でもあるこの形は、
今でも愛され続けている。平面のため、柄をメ
インに見せたい時にも最適。
▼こべべにした刺繍が入った振袖。画像の着物
は大きな柄を活かす為、高さ70cmサイズで製作。
お袖の振りも長く仕立てました。
2、染料によって生地が硬くなっている着物
着物に描かれた文様の中には、染料によって生地自体が硬くなっているものがあります。こべべは手縫いで仕立てており、染料によって硬くなった生地は薄い革を縫っているかのように針が通りにくく、たとえ縫えたとしても生地面積が小さくなるこべべには張り感が強く現れ、こべべ特有のしなやかさであるお袖の振りやおひこずりの裾のドレープが出にくく、ゴワっとした仕上がりになってしまいます。
【その他のおすすめ製作方法】
1の刺繍が入った着物と同様、平面の掛こべべもおすすめです。平面に広げて掛ける状態になるため、張り感が軽減されます。
3、紬などの硬めの織りの着物
紬・御召などの織りの着物は、手触りがやや硬めなので、織りの着物も生地に張り感が出てしまい、こべべ特有のしなやかさが出にくくなってしまいます。
ただ、織りの着物の中でも柔らかい手触りの大島紬などは、しなやかさが比較的出やすいです。
【こべべにするための一工夫】
以前製作したことのある作州絣(岡山県郷土伝統的工芸品・木綿織物)を使ったこべべ作品のように、裾を床すれすれの位置にあげて着付けたこべべであれば、生地の張り感も気にならず素敵に仕上がります。
▼作州絣を使ったこべべ作品 その他画像⇒
(この子はエプロンをしてますが..^^)
裾を床すれすれの位置にあげて着付けたこべべ
▼通常のこべべの裾は床に広がるおひこずり
4、激しく劣化している着物
長年しまい続けている着物に主に見られるケースが、生地の劣化。下の画像で説明しますと、一見劣化しているように見えないのですが、近くで見てみると袖口や背中心など至るところが擦れたように朽ちています。このような生地は、こべべ製作で一番最初に行う工程である「ほどき」の段階で生地が簡単に裂けていくので、製作自体が困難になります。
※「ほどき」とは、縫ってある着物の糸をほどき、一枚の布の状態にすること。
【こべべにするための一工夫】
朽ちている場所は主に縫い目や折り目がある部分に多くみられる為、その部分以外ではまだ生地が無事なケースもあります。その場合、裏に芯を張ることで生地の強度を上げ、裂けるのを防ぎ、こべべ製作が可能になる場合もあります。
▼擦れたように朽ちている様子
【その他のおすすめ製作方法】
生地の強度がかなり落ちている場合は、立体に着付けてあるこべべでは、着付けの際の摩擦で生地が裂ける可能性がある為、負荷がかかりにくい平面の掛こべべがおすすめです。
以上、4つの例をあげて
《こべべにするには難しい着物》
を紹介しました。
ぜひ、お持ちの着物と照らし合わせながら
ご参考にしてみてください。
もしも、
例の着物にあてはまるものだとしても
こべべに出来ないわけではないので
ご安心くださいね^^
人間にも一人一人の個性があるように
着物も一枚一枚個性を持っています。
それぞれの着物の個性を見ながら
最適な方法でこべべ へと仕立て上げていきます。
こべべ作家 田中とし江(和裁士歴45年以上)の
経験豊富な和裁技術と着物の状態を
見極める確かな目で
できる限りの手を尽くし
あなたの大切なお着物を
新たなカタチ へと残してゆきます。
あなたがこべべにしたい
と思われている着物は
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